乳がん19年目でわかったこと

乳がん19年目。初発は完治、その後再発、再再発し、現在トリプルネガティブステージ4。がんになってわかったことをブログにまとめたら、誰かの役に立てるかもしれないという想いで書いています。

放射線治療の怖さ

初発の治療方法

乳がんも初発と再発、再々発ではまるで違う。
再々発まで来ると、どんどん治療方法の選択肢が狭まってくる。特に私が無知だったと後悔したのは、放射線治療の後遺症についてだった。
 
初発の時に行った治療は以下の通り。
 
・部分摘出の温存手術&腋窩リンパ節郭清手術
・再発防止の放射線治療(平日25日間連続通院し照射)
・ホルモン療法(術後2年間4週間毎に通院し皮下注射&5年間毎日エストロゲン抑制の経口薬服用)
 
この時の治療によって、初発から17年、何事もなく生活することができたのだが、、、いわゆる初発でフルコースの治療を行ったことで、局所再発以降は選択肢が狭まって困ることになる。
 
放射線治療後の怖さ


 当時は放射線治療について、治療終了後の後遺症に関して不勉強だった。


放射線治療時の副作用としては、照射部位の皮膚の赤み、かゆみ、ひりひり感や水ぶくれのようになることもあるが、治療終了後2週間ほどで症状は軽くなるし、重篤な副作用はないと聞いていた。
 
当時は約1ヶ月半、放射線治療を受けてから出勤していたので、日光浴をした後に身体がだるくなる感覚と似ていて、とにかく疲れて眠かった。だけど照射していた皮膚は痛くも痒くもなく、外見的にも全く変化が見えなかった。
 
だから放射線治療を受けたことで、その後困ったようなことは何もなかった。
放射線治療の本当の後遺症についてわかったのが、17年後の再発の手術の時だった。
 

放射線照射で細胞再生能力は限界になる

局所再発によって、温存していた乳房を全摘手術する時に主治医は言った。

「術後の皮膚は元に戻りにくく、傷は残るかもしれない」
 
見た目が悪くなるのは致し方ないが、元に戻りにくいとはどういうことなのか、わからないので質問すると、放射線治療を受けた部位の皮膚は、細胞としての再生能力の限界まで破壊されいるので、手術の傷口がどこまで再生できるか、手術してみないとわからないのだと言う。
 
えっ?
細胞の再生能力の限界まで破壊されている?


見た目には特に変化していないと思っていたが、実はもう高齢者の皮膚細胞のようになっているということ?
 
放射線照射で皮脂分泌もなくなる

もう一つ驚いたことがあった。

放射線照射した皮膚は、皮脂分泌がなくなる。もう汗や脂が出なくなるのだ。
 
実はずっとそのことに気づいていなかった。
普通に汗や脂が出ているものだと、ずっと思っていた。見た目にはなんの不自由はなく、特にカサカサしているとか、シワっぽいわけでもなかったからだ。
 
気づいたのは19年目のこの夏。炎天下にノーブラで黒のシャツ(下着)を着てパーカーを羽織り、大汗をかいた時だった。汗に濡れた黒シャツを脱いで驚いた。
 
過去に放射線照射した部位だけが、定規で線を引いたように四角く、くっきりと濡れていないのだ。
 
今の今まで気づかなかったのは、ノーブラで大量の汗をかいたことがなかったから。ブラをつけていることで、汗の左右差に気づけなかった。
  
放射線照射した皮膚は、見た目は普通であっても、細胞としてはもう、限界の状態ということなのだ。